演劇も能も…舞台でマスクする時代、工夫重ねたその形は

伊藤綾 井上秀樹
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 新型コロナウイルスの影響に苦しむ演劇界。状況を注視しながら公演を再開した劇場では新たな試みをしている。舞台に現れたのは、つばが飛ぶのを防ぐため、個性的なマスク姿となった俳優らだ。

 新国立劇場東京都渋谷区)で9日、「願いがかなうぐつぐつカクテル」が開幕した。北村有起哉ら俳優は全員、舞台上で透明のマウスシールドや衣装で口元を覆う。

 全国公立文化施設協会が5月に出した劇場などでの感染拡大予防ガイドラインは、公演関係者に「表現上困難な場合を除き原則としてマスク着用」を求めており、これに沿った対策という。ネコやカラス役はそれぞれ動物をかたどったマスクを着用し、ミヒャエル・エンデ原作のファンタジーならではの工夫をする。

 能楽では、地謡が「演者マスク」と呼ぶちりめんで顔を覆ってうたう。奈良市の春日若宮おん祭で奉納される芸能「細男(せいのお)」から着想したという。金春流能楽師の本田光洋(77)は「マスクよりも密閉されていないので、声を出すのは自由だったようです」。

 5日に東京・千駄ケ谷の国立能楽堂で催した「轍(わだち)の会」は、間隔を空けるため地謡を普段より2人減らして6人にした。本田は「多少ボリューム感に欠けたかな」。大鼓や小鼓の奏者に飛沫(ひまつ)がかからないよう、笛の奏者の座る位置を普段より後ろにずらした。(伊藤綾、井上秀樹)

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